やじろぐ7

40代半ばの妻子持ちがゲームしながら解脱を目指すブログ

週刊少年ジャンプの読み切り「月・水・金はスイミング」を読んだよ。面白かった。

週刊少年ジャンプ2011年10号の感想です。


なかなか読切の感想書きませんでしたけど今日は書きます。
「月・水・金はスイミング」なんちゅうタイトルの漫画だ…。

非常にジャンプらしくない読切の掲載でびっくりしました。
ここ数年のジャンプでは一番「刺激の少ない」読切だったのではないでしょうか。
おそらくジャンプでは異質で、読者にあまり受け入れられない性質の作品。

最近の連載作品で似た雰囲気のものは…。
そうですねー。「すもも」って漫画がありましたね。あれに近いかなあ。
テンポだけ。テンポだけね。内容全然違いますからね。

それくらい異色だということで。

でもこういう作品が好きだなあ。すげーなこれ。嫉妬。

ああ、「サムライうさぎ」の人か! と、なぜか納得。
絵、上手だなあ。

…ほのぼの系が好きなのかな。
この作者様、どんな人なんでしょうね。

登場人物は実質二人なんですよね。
中学をもうすぐ卒業するオサムとマドカ。

オサムがマドカのことを気にするだけの話と言えばそうなんだけど。
そのオサムの生活と気持ちの描写が美しすぎる。
何度も何度も読んでしまいました。

オサムとマドカだけ髪色が黒じゃなくて目立つなあ。
でもそれでいいんだよね。二人以外の人物が見事に印象に残らない。
非常に大胆なコマ割りにも驚かされました。
ささいな部分はささやかに、
大事なところはドンとブチ抜いています。

何が起こったわけでもないストーリーの中に芸が細かい。
お話の筋書き自体には全然関係が無いけど、
お話を寂しくさせる(演出のために入れた)描写がたくさん入っています。
これだけのページ数をぜいたくに使っている印象。すてき。
でもそれらの描写が、描かれている以上の「背景になるストーリー」を
いろいろと想像させているんです。

「知らないおじさんだ」とか、ちくしょう。なんてどうでもいい。
オサムと僕の心にぽっかり穴が空きました。
そこにマドカの姿が見えない寂しさがあるんだよね。
「スイミングだから」でマドカを描くのも寂しさですよね。
マドカが来ないってわかってるけどオサムは行くわけです。

そういう積み重ねがあるだけに、終わった帰りに
オサムがマドカとすれ違うシーンはびっくりしたこれびっくりした。
なんという不意打ち。完全にオサムの心境です。
驚いたやら嬉しいやら。

この会話までずっとオサムから見たマドカばかり描かれますが
最後の最後でようやく、マドカが学校でオサムを気にしたシーンが出ます。
気にしたと言っても、本当にただのクラスメイトとしてだけど。
嬉しいじゃないこれ! たったこれだけでも!
1ページめのシーンからするとたぶんオサムはマドカの前の席なんだろと
思っていたけど授業シーンでは違った…。
オサムもたぶん勉強できるんだろうね。同じ高校に行くんだし。

この物語はそれを最後に何の進展もなく終わるけど、
寂しげな中にもこれからいろいろな交流が期待されて既にあれこれ妄想します。
むふー。やっぱり嫉妬。なにこの漫画!


歌っていた歌は「まちぼうけ」かな?
ころり転げた木の根っこ…ってこんな簡単なの普通忘れない!

ソフトめんって何でしょう。
そんなのが給食に出る地域があるんでしょうか。知らない。

カレンダーが登場します。これによると3月2日にスイミングに向かう
バスの中でオサムはマドカが気になって、
3月7日の帰りのバスでマドカがおにぎりを食べている時の会話を聞いて
3月8日に音楽の追試を受けてウサギのエサを探し、
3月9日が、最後のシーンの日でオサムがバスを待たせて
マドカと会話をするのかなーとかいろいろ考えてる僕は一体何。

主人公二人が中学生でこれから受験シーズンという季節にも合ってて
妙にハマって読んでしまったこの作品ですが。
この話って、わざとかわかりませんが、時代をぼかしてますよね。
たぶん30年前って設定にしても全く違和感無いし。

でも「残念ね 手紙かくわ!」という、あの上品な会話からして
作者様の脳内設定では15年〜20年くらい前の感じなのかもしれませんね。
今だったら「アドレス交換しましょう」「メールするわ」だもんね。

舞台も田舎町ですよね。
のんびりしている感じ。町が山に囲まれています。
中学校も人数少なめな感じ。当番が回るくらいだ。校長もハゲてるし。
「お兄さんが東京の大学に行っている」のであれば東京じゃないんだよね、きっと。
でも3月に雪が降り積もる地方でもない。
なんか僕、妄想激しすぎですか?

でもでも漫画は「こういう場合はどうなるんだろう」とか
「ここはどういう感じなんだろう」とか、作品で描かれない部分を想像させたら
これは素晴らしいことではないかと思うのです。
むしろ想像し始めたら、ちょっとハマってますよ皆さん。

今回のこの読切、僕はハマっちゃいましたね。
面白かったです。気に入りました。

連載になるでしょうか? たぶんならないと思うのですが。
なったとしても人気が得られるでしょうか。
連載になるとしたらもう少し、味を変える必要があるかもしれませんね。
もう少し都会的な感じにした方が事件が起こるのかもしれません。
いや、それは本当に妄想です妄想。

作者様の次回作にも期待してます。



サムライうさぎ 1 (ジャンプコミックス) [コミック] / 福島 鉄平 (著); 集英社 (刊)