俺には一つ、見た目にはわからない癖がある。妻にしか教えた事は無い。妻は、それがどういうことなのかよくわからない様子だったが。たぶん理解できる人はあまりいない癖だと自分でも思う。
マンガを読む時に、コマの外をボンバーマンが走っている。そしてコマのカドに爆弾を置いて回っている。
何を言ってるかわかんねーと思うが。要するにマンガを読むときに、コマの外をボンバーマンが走っているってことだ。20年ずっとそうなんだ。俺はその爆弾の軌跡を追いながらマンガを読んでいるんだ。これは本当に本当だ。
20年以上続くこの妄想のようなものをどこかに落ち着かせるために、事の起こりを書こうと思う。
大学時代にゲームセンターにボンバーマンワールドというゲームがあって、それが好きでひたすらやっていた。100円クリアも何度もやってた。よそのゲームセンターでも見かけたらやった。何十分もかけてた。
それがきっかけだ。どう爆弾を置けば自機が当たらないように綺麗にブロックを爆破できるかとひたすら考えていて、マンガのコマのカドの部分に爆弾を置く妄想が出始めた。全部のカドに爆弾を置くルートを無意識に確定するようになった。マンガを読む時に、コマの外の形を見て、爆弾を置いてからマンガの内容を読む癖がついた。それが治らず今に至る。治るどころか最近は見えないブロックを勝手に積み上げて走っている。なお、大元のボンバーマンのゲーム自体は15年くらいほぼやっていない。面白くなくて。
まあ誰に迷惑をかけるものでもないし、俺が言わない限り誰も気づかないものだし、マンガの内容に影響があるものでもないから、放っておけばいい。むしろどんなジジイになるまでボンバーマンが走るのか確かめたくもある。今のところ、とても元気だ。綺麗に爆弾を置けないと気持ちが悪い以外は。
