やじろぐ7

40代半ばの妻子持ちがゲームしながら解脱を目指すブログ

下を見て自分を慰めない

昔、「労働時間が長くてつらい」と友人にこぼしたことがあった。
その会社は8時半から業務開始で、確か終業は4時55分ではなかったかと思う。正確なところは忘れた。とにかく5時か、それよりちょっと早かったという記憶がある。
普通に考えれば終業は早かったはずなのだが、よくあることで、定時に帰れる雰囲気ではなかったのだ。そんな時間に帰ったことは無い。誰も何も言わないが、みんなずっと残っているのだ。一度話しやすい先輩に「帰ったらいけないのか」と聞いたことがあるが、ダメとは言わなかったが、「営業会社だから定時とか関係無いんだ」というような回答をもらったと思う。要するにいい加減だったのだ。長く働く者がよい仕事をしているという昭和の価値観がこびりついていた。だって、勤務時間について何の説明も無かったのに、普通に夜の7時に会議が入ったりする。
女性社員たちは5時半くらいになったら外出して、ご飯食べたり、買い物したりして、7時くらいに戻ってきて、30分くらい仕事してるフリして、帰っていく。7時半くらいが標準的な退社時間だった。

俺は当時から今に至るまで休憩が下手なやつなのでずーっと仕事してた。バカだった。

中途採用で入ってきた同い年の有能社員がいた。彼は営業ではなく別部署の開発だったが、同い年ということでよく話していた。俺なんかよりずっと賢かった。彼は自分の仕事を毎日終わらせていた。そして上司にちゃんと報告していた。「今日はこの仕事をここまで終わらせました」「明日はこの予定です」誰も文句はつけられない。そして「何か手伝うことありますかー」と周囲の人に声をかけていた。特に仕事は無いことを確認して、「じゃあ、お疲れ様でしたー」と6時半に帰っていった

…その後、彼はたぶん今も知らないままだろうが、そんな彼の事を上司たちは「あいつは何であんなに早く帰るんだ」と言っていたのである。そんな話を聞く無能俺は辛い。「なにこの会社?」と思っていた。例の英語の名前表記ルールの話(名前の英語表記ルール - 心しなやかヤジログ)もこの会社だ。古い価値観が強く残っていた。そういう時代だったのかもしれない。

古い価値観で昔のように出世する時代でもない、新しい価値観には抵抗が出てくる、時代というものはそんなものだろうが、問題なのはその両者の間で、摩擦を受けて、おそらく近年ではかなり大きなショックを受けてズタボロにされたであろう世代が俺たちだってことだ。

土曜日は休みだった。でも明文化はされてないが交代で土曜日は出勤するみたいな暗黙のルールがあった。この会社は色々アウトなところがあったのである。休みの日や退勤後でもガンガン電話がきた。まじで会社からの着メロ聞いただけで胃が痛かったこの頃。駐車スペースがなくて路駐が常態化してた。というか路駐前提の業務オペレーションだったのだ。もちろん違法であって、その自覚があったのは俺だけだったのですごいストレスだった。社印や代表者印はオフィスの中央に置いてあった。自分で押してた。これに慣れてしまったので転職した後苦労した。

 

今思うとすごい会社だったが、たぶん時代が進んで今は法令を遵守するようになっているんだろうと信じたい。

 

ところで愚痴を聞いてくれた友人から返ってきた言葉は「安心しろよ、俺の業界なんか早朝から深夜までだよ」というものだった。彼は小売業が好きで、頑張っていた。なるほど業界によっては本当に超長時間労働なのである。でも俺にはその言葉が社畜自慢に聞こえたんだよね。「ごめん俺、下を見て自分を慰めることはしないんだ」自分より環境が悪い人がいるから何だという話。俺が俺の今の環境に満足してないんだよ、俺はもっといい環境を目指したいんだよ、上を見てたいんだよ。

今も、自分より悲惨な人をみたところで、慰めにはならない。ていうかそれで慰めになるメンタルって酷いよね。よりよい世界はきっとある。それを目指して変わっていかないとね。